不同意性交等罪の慰謝料の相場

不同意性交等罪の慰謝料の相場

不同意性交等罪の刑事責任

不同意性交等罪の刑事責任

不同意性交罪の刑事責任とは、刑事裁判で言い渡された量刑に従うことを意味します。つまり、刑事裁判で「懲役〇年」という実刑判決を受けた場合は、仮釈放期間を除く期間は服役しなければなりません。一方、執行猶予付き判決を受けた場合はただちに服役する必要はありません。ただ、執行猶予期間が過ぎるまでは服役する可能性が残されたままとなります。

ここでは不同意性交罪の刑事責任について解説します。

不同意性交等罪が成立する要件

不同意性交等罪がどのような場合に成立するのかについては刑法という法律の第177条に規定されています。刑法第177条にはいかなる場合に不同意性交等罪が成立するのかが細かく規定されていますが、要するに、被害者が同意していないという状況を自ら作り上げたか、あるいはすでに被害者がそのような状態にあることを利用して性交等を行った場合に不同意性交等罪が成立するとされています。たとえば、

  • 被害者に暴行を加えて性交等をした
  • 被害者に大量のアルコールを飲ませ泥酔状態にした上で性交等をした
  • 経済力のない被害者に「性交に応じなければ生活費を入れない」などと言って性交に応じさせた

などといったケースが不同意性交等罪が成立する典型例です。

性交等とは、性交、すなわち、膣内に陰茎を挿入する行為、肛門性交、口腔性交のほか、膣や肛門に陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為も含まれます。

また、被害者が13歳未満の場合は、上記の事情がなくても性交等をしただけで不同意性交等罪が成立する可能性があります。ただし、被害者が13歳以上16歳未満の場合は、被害者と5歳以上の年齢差がある場合にのみ不同意性交等罪が成立します。これは、年が近い未成年者同士の性交等について、不当に不同意性交等罪が適用されないよう配慮されたものです。

不同意性交等罪の罰則

不同意性交等罪の罰則は5年以上(上限20年)の懲役です。罰金刑は設けられていません。執行猶予を受けるには最高でも3年の懲役・禁錮を受けることが条件ですから、不同意性交等罪では実刑が原則となります。ただ、初犯や示談成立など犯人にとって有利な事情が認められるときは執行猶予を受けられることもあります。

なお、2025年(令和7年)6月1日以降に犯した不同意性交等については懲役刑ではなく拘禁刑が適用されます。懲役刑・禁錮刑はなくなります。拘禁刑も犯人の身体を拘束し刑務所に収容して、刑務所内で更生を図るという点では懲役刑・禁錮刑と同じです。ただ、懲役刑と異なり、刑務所内での刑務作業が義務ではなくなり、受刑者の性格や価値観、境遇、前科の内容、受刑態度などによって柔軟な処遇がされることとなっています。

【参考】不同意性交の民事責任

不同意性交の民事責任

不同意性交の民事責任

不同意性交等を行うと刑事責任のほか民事責任も負います。民事責任とは、不同意性交等を行ったことで相手に肉体的・精神的被害を与えたことに対する金銭賠償、すなわち、慰謝料の支払いのことです。

慰謝料の相場

不同意性交の慰謝料の相場は100万円~300万円が目安です。

不同意性交は、盗撮、痴漢などの他の性犯罪に比べて悪質性の高い行為ですので、慰謝料は高くなる傾向です。なお、盗撮の慰謝料の相場は10万円~30万円、痴漢の慰謝料の相場は30万円~50万円が目安です。

慰謝料を決めるにあたって考慮される要素

もっとも、前述のとおり、上記の金額はあくまで目安にすぎません。示談交渉や裁判では以下の諸要素の有無や内容を考慮し、最終的な慰謝料を確定していきます。したがって、場合によっては慰謝料が300万円以上になることも十分に考えられます。

行為の悪質性

行為の悪質性とは、犯行に至るまでの計画性、犯行自体の執拗さ・残忍性、危険性、悪質性のことを指します。たとえば、ナイフを使って脅したなどという事情があれば、慰謝料は増額する方向に傾きます。

被害者の年齢

被害者まだ若い、特に未成年者の場合、被害者に与える肉体的・精神的ダメージが大きいと考えられます。そのため、年齢が低いほど慰謝料は増額する方向に傾きます。

被害の大きさ

不同意性交によって被害者が怪我を負った場合には慰謝料は増額します。なお、この場合、不同意性交等罪ではなく、不同意性交等致傷罪という別の罪に問われます。不同意性交等致傷罪の罰則は6年~20年の拘禁刑または無期懲役です。また、被害者が精神疾患などによって仕事や学校を休まざるを得なくなったなどという事情も考慮されるでしょう。

被害者の気持ち(処罰感情)

被害者の加害者に対する気持ち(処罰感情)が厳しい場合は請求される慰謝料は高く設定されるでしょう。最終的に確定する慰謝料の金額は被害者の気持ちによって大きく左右されるといっても過言ではありません。

被害者との関係性

親の子に対する不同意性交、教師の生徒に対する不同意性交、会社上司の部下に対する不同意性交など、立場の強いことを利用したと認められるケースでは慰謝料が増額する方向に傾きます。

加害者の社会的地位、資産状況

社会的地位が高く、資産が多くある場合は請求される慰謝料は高く設定されるでしょう。一方、加害者の収入が低く、資産もない状況であればいくら高額な慰謝料を設定しても支払いが実現されない可能性がありますので、低く設定される可能性はあります。

【参考】不同意性交等罪とは?逮捕されるケースと前科をつけないために

示談成立で逮捕・実刑を免れる

示談成立

このように、不同意性交を行えば刑事・民事の責任を負います。

仮に、被害者が警察に被害届を出した場合は逮捕され、ゆくゆくは刑務所に収容される可能性もあります。もっとも、被害者と示談を成立させることで、こうしたリスクを避けることができます。被害者がまだ警察に被害届を提出していない段階で示談を成立させることができた場合は、逮捕や実刑を避けることができます。万が一逮捕された場合でも、示談を成立させることで実刑を避けることができます。

刑事・民事の責任はまったく別の責任ですが、慰謝料の支払いという民事責任を果たすことで刑事責任も免れることができるのです。

【参考】刑事事件の弁護士費用

不同意性交でお困りの場合は弁護士に相談

スタッフ集合写真

もっとも、被害者との示談交渉は弁護士に任せましょう。

仮に被害者と連絡がとれる状況でも、そもそも被害者が加害者との直接の交渉に応じてくれるとは考えられません。執拗に連絡をとろうとすると警察に被害届を提出され、逮捕されてしまう可能性もあります。また、そもそも被害者と面識がないという状況では、警察などから被害者の連絡先を入手できるのは弁護士しかいません。

弁護士であれば、感情的になることなく冷静に交渉を進めることができます。被害者側の不当な要求にも毅然とした態度をとり、お互いが合意できる内容に交渉をまとめることができます。弁護士に依頼すれば被害者と直接やり取りする負担も軽減することができるでしょう。

もし、不同意性交でお困りの場合ははやめに弁護士に相談されることをおすすめします。

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