- 執筆者弁護士 山本哲也
依頼者 | 少年 |
罪名 | 麻薬及び向精神薬取締法違反 |
弁護活動の結果 | 再度の保護観察処分 |

目次
事件の概要

本件は、少年であるご依頼者様が、違法薬物であるMDMAを使用したという事案です。
ご依頼者様は、東京都内でMDMAを使用した後に逮捕され、都内の警察署に身柄を拘束されていたため、当初は都内の弁護士が私選弁護人として就いておりました。勾留満期後は前橋家裁に送致され、群馬県内の弁護士に付添人をお願いしたいとのことで、ご依頼者様のご両親からご相談を受けました。
法律相談を実施する中で、ご依頼者様が保護観察処分を受けたばかりであり、保護観察中の再非行であることが判明しました。そのような事案だと、一般的には少年院送致の処分を受ける可能性が高いため、付添人のサポートの下で再度の保護観察処分を受けたいとのご依頼者様の希望があり、当事務所にご依頼をいただくことになりました。
弁護方針
再度の保護観察処分を獲得するため、ご依頼者様の要保護性を解消することを目標にして、付添人の活動を進めました。
まずは、ご依頼者様の本件非行に対する内省を深めることを心がけました。具体的には、少年鑑別所へ何回も足を運んでご依頼者様と面会し、本件非行に至る経緯、本件非行に及んだ原因、再非行に及ばないための改善策等について、問答を行いながら考えを深めました。そして、面会の度にご依頼者様の考えを作文にまとめ、当初のご依頼者様の考えがより深まっていることが客観的にもわかる証拠として残すようにしました。
次に、ご依頼者様の再非行を防止するための環境調整をすることを心がけました。具体的には、ご両親がご依頼者様を近くで監督できるよう、就労先の相談や交友関係の制限等を行いました。ご依頼者様は、SNSを通じて本件非行に及んでいたことから、今後SNSとどのように関わっていくのかについて、ご依頼者様及びご両親と議論しました。
また、これらの点につき、家裁の調査官とも情報共有を行い、カンファレンスの場にて議論を重ね、より良い改善策を一緒に考えました。
当事務所が対応した結果
上記の付添人活動を行った結果を付添人の意見書としてまとめ、家裁に提出して審判期日を迎えました。ご両親にも期日に同席していただき、監督者としての意見等を述べていただきました。付添人からもご依頼者様に質問するなどして、内省の程度が裁判官によりわかりやすく伝わるように工夫しました。その結果、再度の保護観察処分を獲得することができました。
このような寛大な処分を獲得できたのは、ご依頼者様の内省の程度が裁判官に目に見える形で伝わったからであると思います。ご依頼者様と面会をした当初に作成した作文はわずか1枚程度でしたが、面会を重ねるにつれて枚数は増え、内容もより充実していき、目に見える形で内省が深まっていきました。当初からこのような付添人活動を行っていたことで、ご依頼者様の内省を深めるお手伝いをすることができました。
また、ご依頼者様の再非行防止のために、ご両親にご協力をいただけたのも大きなポイントであると考えています。特に、交友関係やSNSとの向き合い方などは、ご依頼者様だけでは自制できない事柄ですので、ご両親のサポートがあったことで、付添人としてより説得的な意見を述べることができました。
弁護士からのコメント

観護措置決定後から付添人として活動を開始したため、約3週間という短い期間でしたが、ご依頼者様とコミュニケーションンをとりながら信頼関係を築くことができ、最善の付添人活動を行えたと思います。
少年事件の特性上、少年がなかなか心を開いてくれず、コミュニケーションをとるのが難しい場面もありますが、本件では付添人が何度も少年鑑別所へ足を運び、ご依頼者様の様子を見ながら無理なく面会を実施していった点がよかったのだと思います。
本件のような保護観察中の再非行の事案では、要保護性の解消ができないと、少年院送致の処分を受ける可能性がかなり高くなります。また、成年の刑事事件に比べて、少年事件は家裁送致から審判までの期間が短いため、付添人活動等の内容にも限界があります。
そこで、早い段階から付添人や弁護人のサポートを受けることで、要保護性の解消に向けて準備を進めていくことがポイントだと考えています。