
児童ポルノとは

児童ポルノが何かについては児童ポルノ禁止法(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に詳しく書かれていますが、簡略化すると、児童ポルノとは性的な児童の姿態を写した画像や画像データ、動画などのことをいいます。
また、児童ポルノ禁止法によると、性的な児童の姿態とは、具体的には次のいずれかのもののことをいうとされています。
- 児童と性交した、または児童と性交類似行為をした際の当該児童の姿態
- 児童の性器等を触った、または児童に自分の性器等を触らせた際の当該児童の姿態で、性欲を興奮・刺激するもの
- 衣服の全部または一部を着けない児童の姿態で、殊更に児童の性的な部位が露出されているものまたは強調されているもので、かつ、性欲を刺激・興奮させるもの
なお、児童とは18歳未満の者のこと、性器等とは性器、肛門、乳首のことをいうとされています。
18歳未満であれば、女子のみならず、男子も児童にあたります。
以上より、次のようなものが児童ポルノにあたると考えられます。
- 児童との性交場面をスマートフォンで録画した動画
- 児童に自分の性器を触らせた場面をスマートフォンで撮影した画像データ
- プールで裸のまま遊んでいる幼児の性器をカメラでアップして撮影した画像データ
【参考】トレントを使って、動画コンテンツなどを違法ダウンロードしてしまった
児童ポルノ禁止法で処罰される可能性のある行為と罰則

児童ポルノ禁止法で処罰される可能性のある行為は所持、提供・公然陳列、製造などがあります。
所持
自分の趣味で、パソコンやスマートフォンに児童ポルノを保存している、児童ポルノを記録したDVDをもっていることなどが発覚した場合は所持罪で処罰される可能性があります。
ただし、パソコンがウィルスに感染し勝手に児童ポルノがダウロードしてしまった場合など、自分の意図しないところで児童ポルノを所持してしまった場合には所持罪は成立しません。
上記のような所持を単純所持といいます。
単純所持罪の罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。
一方、不特定または多数の人に提供する目的で児童ポルノを所持した場合の罰則は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または懲役と罰金の併科」です。
提供・公然陳列
次に、児童ポルノを第三者に渡した場合は提供罪で処罰される可能性があります。
有償で提供したのか、無償で提供したのかは問いません。
また、児童ポルノをネット上にあげるなどして誰でも見ることができる状態に置いた場合は公然陳列罪で処罰される可能性があります。
提供罪の罰則も2種類あります。
特定の人に提供した場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、不特定または多数の人に提供した場合は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科」です。
公然陳列罪の罰則も「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科」です。
製造
次に、カメラなど児童を撮影して児童ポルノを作った場合、児童に裸の画像や動画を自撮りさせて、その画僧や動画をスマートフォンで送らせた場合などは製造罪で処罰される可能性があります。
なお、後者の場合は別途強要罪(3年以下の懲役)で処罰される可能性もあります。
製造罪の罰則も2種類あります。
自分の趣味や特定の人に提供する目的で製造した場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、不特定または多数の人に提供する目的で製造した場合は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科」です。
【参考】性犯罪の解説
児童ポルノ禁止法での逮捕率と逮捕されやすいケース

2024年版の検察統計によりますと、2023年に検察が処理した児童ポルノ禁止法に関連する事件3026件のうち、逮捕されたことのある事件(途中で釈放された事件を含む)は649件とのことです。
割合としては約21%と決して高いとはいえないものの、ケースによっては逮捕されることがあることも事実です。特に、
- 社会的に耳目を集める事件
- 事件が悪質・巧妙で実刑が見込まれる事件
- 余罪が多数見込まれる事件
- 犯人の任意出頭が見込めない事件
- 犯人の逃亡のおそれがある事件
- 前科をもっている人の事件
などは逮捕されやすいといえますので注意が必要です。
【参考】ご家族が逮捕された方へ
児童ポルノはどうして発覚する?

このように、児童ポルノが発覚すると警察に逮捕される可能性があります。
では、そもそもなぜ児童ポルノが警察に発覚してしまうのでしょうか?
ここでは主な発覚の経緯についてみていきましょう。
警察のサイバーパトロールから
まず、警察のサイバーパトロールから発覚することが考えられます。
児童ポルノに関する情報はSNSを含めたネット上でやりとりされることが多いため、当然、警察はネット上で児童ポルノに関する情報のやり取りがなされていないか厳しい目を向けています。
また、児童ポルノに関する情報は国を超えて共有されることもあるため、最近では、国境を越えて児童ポルノに関する情報共有、捜査協力が行われるようになっています。
販売業者・違法サイトの摘発から
次に、児童ポルノの販売業者・違法サイトの摘発から発覚することが考えられます。
児童ポルノの販売業者や違法サイトの運営者に対するガサによって顧客リスト等が押収され、そこから児童ポルノを購入した人が特定されてしまう可能性があります。
児童の補導・被害申告から
次に、児童が補導されたり、児童が親や学校の先生などに被害申告することから発覚することが考えられます。
補導された児童がスマートフォンを持っている場合はスマートフォンの中身をチェックされる可能性があります。親や先生などに相談した場合も同様です。
児童が見知らぬ大人とやり取りしている形跡がある場合は売春等を疑われ、そこから児童ポルノが発覚する可能性があります。
余罪の捜査から
次に、余罪捜査から発覚することが考えられます。
たとえば、児童買春した際に児童と性交した動画をスマートフォンに保存していました。
しかし、その後警察に児童買春が発覚し、スマートフォンを押収されたため、上記の動画を所持していたことが発覚してしまったというような場合です。
この場合、児童買春とは別に児童ポルノも立件される可能性があります。
【参考】発信者情報開示請求を受けたら
逮捕された後の流れ

刑事事件で逮捕されてから起訴・不起訴が決まる刑事処分までの流れは概ね次のとおりです。
逮捕
↓
送検(検察官送致)
↓
勾留
↓
起訴・不起訴
逮捕から勾留までは約3日程度です。
勾留後ははじめ10日間身柄を拘束され、その後も最大で10日間身柄を拘束される可能性があります。
身柄を拘束されている間は警察の留置場で生活します。
ただ、逮捕から勾留までの間、勾留から起訴・不起訴までの間に釈放されることもあります。
釈放された後は普段の生活を送りながら、警察の取調べなどに応じることになります。
警察・検察の捜査が終わると最終的に起訴・不起訴の刑事処分を受けます。
身柄を拘束されたまま起訴された場合はさらに拘束期間が延びます。
起訴された後は保釈請求によって釈放を求めることになります。
【参考】私選弁護士をつけるメリット
逮捕を免れるには弁護士に相談を

前述のように、一度逮捕されると長期間にわたり身柄を拘束される可能性があります。
身柄拘束期間が長期にわたると精神的・肉体的に辛いことはもちろん、あなたやご家族の生活、仕事などにも大きな影響を及ぼすことになります。
そこで、こうしたリスクを回避するには、早めに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、あなたの状況に応じた逮捕回避に向けた対応をとってくれます。
逮捕回避に向けてどのような対応をとるべきかは、お一人お一人の状況によって異なりますので、早めに弁護士へ相談されることをおすすめします。