トレントを使って、動画コンテンツなどを違法ダウンロードしてしまった

トレント(Torrent)とは、BitTorrentネットワークを介して、ユーザー同士が直接ファイルのダウンロードやアップロードができるソフトです。トレントを利用すること自体は違法ではありませんので、高速でファイルを共有する目的などで利用している方も少なくないでしょう。

しかし、トレントは、使い方を誤ると刑事罰の対象になる可能性がありますので、トレントの危険性をしっかりと理解した上で使うことが大切です。

今回は、トレントの利用が違法になるケースや違法行為をした場合のリスクなどについてわかりやすく解説します。

1.トレントとは

トレントとは

トレント(Torrent)とは、P2P接続によりBitTorrentネットワークを介して、ユーザー同士が直接ファイルのダウンロードやアップロードができるソフトです。トレントネットワークに接続していう各ユーザーのデバイスから中央サーバーを介することなく直接ファイルを共有できるのが特徴です。

このようなトレントには、以下のようなメリットがあります。

  • 複数のサーバーやパソコンにファイルを分散するため、負荷が減少する
  • 複数の端末から同時にファイルのダウンロードができるため、高速でファイル共有が可能
  • ひとつのサーバーに依存しないため、ファイルが消える心配がない

2.トレントを利用するのは何が問題なの?

トレントを利用するのは、何が問題になるのでしょうか。

(1)トレントの利用自体は適法

トレントは、合法的なクライアントソフトですので、トレントを利用すること自体は特に問題はありません。しかし、トレントの利用方法によっては、違法ダウンロードや違法アップロードに該当し、刑罰の対象になる可能性もあります。

(2)トレントの利用が違法になる代表的なケース

トレントの利用が違法になる代表的なケースとしては、以下のケースが挙げられます。

①著作権のあるファイルをダウンロード・アップロードする行為

映画、音楽、小説、漫画などは、それを創作した人に著作権が与えられています。著作権により保護されている著作物は、原則として著作権者の許諾がなければ利用することができません。

トレントを利用してこれらの著作物をダウンロードしてしまうと、著作権法に反する違法な行為となります。また、トレントは、ネットワークに接続中はパソコン内のファイルを自動でアップロードする仕組みになっていますので、知らないうちに著作権により保護されている著作物をアップロードしてしまい著作権法違反となる可能性もあります。

②児童ポルノなどの違法コンテンツをダウンロード・アップロードする行為

児童ポルノとは、18歳未満の未成年者のわいせつな画像や動画をいいます。児童ポルノ禁止法では、児童ポルノを所持保管することや児童ポルノをアップロードすることを禁止しています。

トレントを利用して、18歳未満の未成年者を対象とするわいせつな画像や動画をダウンロードしてしまうと、児童ポルノ禁止法に違反する違法な行為となります。また、トレントがネットワークに接続中は、自分のパソコン内に保存されている児童ポルノも自動的にアップロードされていますので、知らないうちに児童ポルノ禁止法違反となる可能性もあります。

3.トレントで違法ダウンロードをした場合に生じるリスク

リスク

トレントで違法ダウンロードやアップロードをしてしまった場合には、以下のようなリスクが生じます。

(1)刑事上の責任

①著作権法違反

トレントで違法なダウンロードやアップロードをしてしまった場合には、著作権者からの刑事告訴により、著作権法違反の罪に問われる可能性があります。著作物を違法にアップロードした場合には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらが併科されます。また、著作物を違法にダウンロードした場合には、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

トレントは、ダウンロードする際に、同時にアップロードも行っている状態になりますので、トレントを利用して著作権法違反に問われた場合には、より重い違法アップロードに関する規定が適用される可能性がありますので注意が必要です。

②児童ポルノ禁止法違反

トレントを利用して児童ポルノをダウンロードした場合には、児童ポルノ禁止法が規定する単純所持にあたり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

また、トレントを利用して児童ポルノをアップロードした場合には、児童ポルノ禁止法が規定する公然陳列にあたりますので、5年以下の懲役または500万円以下の懲役に処せられます。

(2)民事上の責任

著作権者に無断でコンテンツをアップロードした場合、著作権者には当該コンテンツで得られたはずの利益を失うという損害が生じてしまいます。そのため、著作権者は、違法アップロードした人に対して、民事上の責任追及として損害賠償請求を行います。

著作権法では、著作権侵害により著作権者に生じた損害の推定規定が置かれていますので、「ダウンロード数×販売利益」により計算した金額を請求される可能性があります。

(3)発信者情報開示請求

発信者情報開示請求とは、プロバイダなどに対して、契約者の住所・氏名などの情報を開示するよう求める手続きのことをいいます。

トレントは、利用者のIPアドレスが公開されていますので、トレント監視システムを利用することで違法なアップロードを行っている人のIPアドレスを特定することができます。そして、IPアドレスからプロバイダを特定し、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行うことで、違法なアップロードをしている人を特定することができます。

発信者情報開示請求は、その後の刑事告訴や損害賠償請求の手段として利用されるものになります。プロバイダから発信者情報を開示してもよいか尋ねる「意見照会」が届きますので、意見照会が届いたら刑事上または民事上の責任を追及される可能性があると考えておいた方がよいでしょう。

4.トレントの違法利用をした方は早めに弁護士に相談を

スタッフ集合写真

トレントで違法ダウンロードやアップロードをしてしまったという方は、民事上または刑事上の責任追及を受けるリスクがありますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

特にプロバイダから発信者情報開示請求に関する意見照会書が届いた場合には、著作権者により責任追及される可能性が高いです。意見照会を無視していても、訴訟になれば発信者情報開示が認められてしまいますので、訴訟前に適切な対応をとる必要があります。

弁護士に依頼をすれば、交渉や対応の窓口をすべて弁護士に一任することができますので、ご自身の精神的ストレスを減らすことができます。示談が成立すれば、損害賠償請求や刑事罰が科されるリスクも回避できます。

ひとりで悩んでいても解決はできませんので、まずは弁護士にご相談ください。

5.まとめ

トレントにより違法なダウンロードやアップロードは、著作権法違反などにより刑事罰の対象になる可能性もあります。また、違法アップロードにより著作権者に損害を与えた場合には、著作権者から多額の賠償金を請求される可能性もあります。

トレントの利用自体は違法ではありませんが、トレントの仕組みや違法ダウンロード・アップロードのリスクをしっかりと理解していなければ、トレントの違法利用をしてしまうおそれがあります。万が一、プロバイダから意見照会が届いた場合には、トレントの不正利用を理由として、刑事告訴または損害賠償請求がなされる可能性がありますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

トレントの不正利用に関するお悩みは、山本総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

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