闇バイトに関わってしまったら|自首すれば大丈夫?

闇バイトに関わってしまったら|自首すれば大丈夫?

近年、闇バイトに関わって指示役から犯罪行為を強制され、警察に逮捕される人が後を絶ちません。

軽い気持ちで闇バイトに応募したところ、指示役から脅迫されて犯罪を実行してしまい、後悔している方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなときは、自首をすれば処罰されずに済むのかが気になるところでしょう。

今回は、闇バイトに関わってしまったときの正しい対処方法を、群馬県高崎市の弁護士が解説します。

闇バイトとは

闇バイト

そもそも闇バイトとは、違法な行為をすることと引き換えに報酬を受け取るアルバイトのことを指します。

闇バイトを募集しているのは一般の企業などではなく、悪質な犯罪グループです。自ら犯行に及ぶと足がつくおそれがあるため、アルバイトを雇って代わりに犯罪を実行させるのです。

闇バイトを実行すると、通常のアルバイトでは稼げないような高額の報酬を得られますが、犯罪グループは自ら手を下すことなく、指示することで巨額の利益を得ており、そのごく一部の分け前を報酬として支払っているに過ぎません。

もっとも、高額の報酬を約束して犯行を指示しておきながら、実際には報酬が支払われないケースも少なくありません。

闇バイトを募集している求人の特徴

闇バイト求人の特徴

闇バイトの募集は、主にSNSやインターネット上の掲示板などで行われています。

求人の投稿では、高収入を謳っていることが特徴的です。「誰でもできる簡単な仕事で高収入」、「短時間で稼げます」などの甘い誘い文句で、お金に困っている人をターゲットにして勧誘しています。

仕事内容については具体的に記載されていないことが多く、記載されていたとしても、「荷物を運ぶ」、「書類を受け取る」、「電話をかける」「現地調査」など、曖昧な内容であることがほとんどです。詳細はDM(ダイレクトメッセージ)で伝えるなどとして、問い合わせに誘導しています。

以前は何となく怪しいと感じる求人が多かったですが、近年では、「ホワイト案件」(合法な仕事)であることを強調するなどして、通常のアルバイトの求人と見分けにくいものが増えていることにも注意が必要です。

闇バイトに加担してしまった場合にさせられること

闇バイトに加担してしまった場合にさせられること

闇バイトで指示される仕事内容は多岐にわたりますが、典型的なものとして次のようなものが挙げられます。

携帯電話(スマホ)やキャッシュカードの譲渡

犯罪グループが犯行に使用するための携帯電話(スマホ)や、銀行口座のキャッシュカードの譲渡を求めてくるケースが多いです。

これらの行為は、罪悪感を持たずに応じてしまう人も多いですが、れっきとした犯罪です。

携帯電話(スマホ)を他人に譲渡した場合は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方に処せられます。

キャッシュカードを他人に譲渡した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方に処せられます。

また、他人に譲渡する目的で携帯電話(スマホ)の契約をしたり、銀行口座を開設したりすると詐欺罪が成立し、10年以下の懲役に処せられるおそれもあります。

特殊詐欺のかけ子、受け子、出し子など

振り込め詐欺や架空請求などの特殊詐欺に関して、ターゲットに電話をかける「かけ子」、被害者から金銭を受け取る「受け子」、被害者が入金したお金を口座から引き出す「出し子」などの実行を指示されることも多いです。

これらの役割を果たすと詐欺罪を実行したことになるので、10年以下の懲役に処せられます。

【参考】詐欺罪で逮捕されてしまったら

窃盗や強盗

窃盗罪や強盗罪の犯行を指示される闇バイトもあります。

複数名の闇バイトが雇われ、実行犯、見張り役、送迎役などと、役割分担を指示されることも多いです。闇バイト同士は、犯行当日に初めて顔を合わせるケースがほとんどです。

窃盗罪が成立した場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

強盗罪が成立した場合は5年以上の有期懲役、強盗の際に人を負傷させた場合は無期または6年以上の懲役、死亡させた場合は死刑または無期懲役という、非常に重い刑に処せられます。

ただし、見張り役や送迎役など、補助的な役割を果たしただけの場合は「従犯」となり、刑が軽減されます。

【参考】強盗罪で逮捕されてしまったら

運び屋

覚醒剤などの違法薬物や、犯罪によって得た現金などを指定された場所まで運ぶ「運び屋」の仕事を指示される闇バイトもあります。

運び屋に対する刑罰は運んだものによって異なりますが、違法薬物を運んだ場合は非常に重く処罰されることも多いです。

例えば、営利目的で覚醒剤を密輸した場合には、無期もしくは3年以上の懲役および1,000万円以下の罰金に処競られる可能性があります。

闇バイトに加担してしまうリスク

闇バイトに加担してしまうリスク

闇バイトで犯行に加担すると、上でご紹介したように犯罪が成立し、処罰の対象となります。闇バイトのように組織的な犯行は単独犯よりも悪質とみなされるため、大きな被害が生じたケースでは初犯でも起訴され、重い実刑判決を受ける可能性が十分にあります。

有罪判決を受けると前科がついてしまうため、社旗復帰が厳しくなることも考えられます。若い方であれば、就職や結婚などに支障をきたすおそれもあるでしょう。

闇バイトをやめたいと考えても、ほとんどの場合は応募後、仕事の説明を受ける前に個人情報を握られてしまっています。犯罪グループに「やめたいと」と申し出ると、「個人情報を拡散するぞ」「家族がどうなっても知らないぞ」などと脅されるため、簡単にはやめられないのが実情です。

闇バイトだと知らなかったとしても逮捕される?

闇バイトで逮捕

犯罪グループから指示された仕事が犯罪に該当することを知らなかったとしても、警察に発覚すると逮捕され、処罰される可能性が十分にあります。

刑事事件には「法の不知は罰する」という原則があり、自分がどのような行為をするのかを認識して実行した以上は、その行為が犯罪に該当することを知らなかったとしても処罰の対象となるのです。

「知らなかった」という言い訳は通用しないことに注意が必要です。

自首すれば前科はつかない?

闇バイト_自首

闇バイトで犯行に関わってしまった場合は、自首を検討する方が賢明です。

自首をしたからといって罪が許されるわけではありませんが、前科を回避できる可能性は高まります。

警察に対して自ら犯行を申告すると、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕されない可能性もあります。

仮に逮捕されたとしても、取り調べで犯罪に関する事実を正直に、かつ、積極的に説明することはプラスの情状として取り扱われます。犯行の内容や被害の程度にもよりますが、自首したことが評価されて処罰の必要性がないものと判断され、不起訴となることも期待できます。

起訴されなければ有罪判決を受けることはありませんので、前科はつきません。

起訴された場合でも、自首した場合には刑を減軽できるものとされているので、執行猶予付き判決などの軽い処分が期待できます。

闇バイトで重大な犯罪に関わった場合は、放置すると逮捕・起訴されて前科がつく可能性が高いので、自首をして少しでも軽い処分を目指した方がよいでしょう。

弁護士に相談したことは、指示役にバレない?

闇バイト_弁護士相談

弁護士に相談したことが、指示役にバレることはありません。弁護士には守秘義務があるため、相談内容はもちろんのこと、相談したこと自体についても、第三者に漏らすことはないからです。

弁護士の助言に従って警察に自首すると、自首したことが報道などを通じてバレる可能性はありますが、犯罪グループから報復されるおそれは、まずないといえます。

なぜなら、犯罪グループも逮捕・処罰を恐れているため、「警察に自首するな」「弁護士に相談するな」と脅してくることはあっても、既に警察や弁護士に相談した人を脅すことにメリットはないからです。

1円の得にもならないことを、犯罪グループがリスクを冒してまで行うことは考えがたいので、早めに警察や弁護士に相談する方が得策です。

【参考】私選弁護士をつけるメリット

闇バイトに加担してしまった場合は弁護士に相談を

弁護士一同

闇バイトに加担してしまったら、一人で悩まず弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、自首も視野に入れて、状況に応じて最善の対処法をアドバイスします。

犯罪グループから脅迫された場合も、弁護士が対応してくれるので安心です。弁護士の警告を無視して脅迫を続ける犯罪グループは少ないので、あとは犯した罪と向き合うだけとなります。

不起訴処分で前科を回避する可能性を高めるためにも、闇バイトに関わってお困りの際は、すぐ弁護士へご相談ください。

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