
助成金・補助金の種類と不正受給となるケース

助成金や補助金は、雇用の安定、研究開発の促進、設備投資の支援など、様々な目的で設けられています。
特に、雇用調整助成金、キャリアアップ助成金、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化給付金などがよく知られています。
助成金や補助金の利用が拡大する一方、不正受給の事例も散見されるようになりました。
不正受給とは、偽りその他の不正の行為により、本来受けとることのできない支給を受け、または受けようとした場合をいいます。
事業の実態や経費、従業員の雇用状況などを偽って申請する、受給した助成金・補助金を、申請時に申告した目的とは異なる用途に使用するなどが不正受給の典型例です。
不正受給によるペナルティ

助成金・補助金の不正受給が発覚した場合、行政処分と刑事罰の両方が科される可能性があります。
主な行政処分としては、以下のようなものがあります。
- 返還命令::不正に受給した助成金・補助金の全額返還が求められます。
- 加算金及び延滞金の請求:返還命令に基づき返還する金額に加え、不正受給額の一部相当の額(例:20%)の加算金や延滞金の支払が請求されます。
- 事業者名等の公表: 事業主名等が公表されます。
- 現地調査:予告なく、事業所訪問による立入検査が行われます。
- 不支給措置: 一定期間(例:5年間)、他の助成金・補助金の申請ができなくなります。
不正が悪質なケースは、刑事告発されます。
刑事罰としては、詐欺罪(刑法246条)に当たるおそれがあります。
詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役であり、罰金刑はありません。
また、補助金適正化法にも不正受給に対する罰則規定があり、こちらの刑罰は、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれの併科です。
【参考】刑事事件の弁護士費用
不正受給が発覚した場合の対応

助成金・補助金の不正受給の疑いが生じたり、実際に不正受給してしまったことが発覚したりした場合は、速やかかつ慎重に対応することが極めて重要です。
最近では、行政から不正受給に関するアンケートがメール等で送付され、改めて社内で確認したところ不正受給であった(不正受給の可能性が高い)ことが発覚するケースも多いです。
その場合、まずは、申請内容や経費の使途、関係書類などを正確に確認し、不正の事実関係を把握します。不正受給であることが判明したら、自主返還を検討します。
警察等による捜査がある場合は、状況に応じて協力した方が無難でしょう。
そして、再発防止策も重要です。二度と不正受給をしてしまわないよう、自社のコンプライアンス体制の強化は必須といえるでしょう。
不正受給の多くのケースでは、補助金に関するコンサルタントが関与しています。
コンプライアンスの体制が整備されていれば、コンサルタントに勧められるがままに補助金の申請を行ったところ実は不正受給だった、という事態も防げます。
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弁護士に相談するメリット

不正受給の疑いが生じた場合、早期に弁護士に相談することには多くのメリットがあります。
まず、具体的な状況を法的な観点から分析し、不正受給に該当するかどうか、どのようなペナルティが科される可能性があるのか、今後の法的手続きの見通しを立てられます。
そして、その見通しに基づいて、内部調査の進め方、関係各所への連絡、証拠の保全方法といった初期対応についてアドバイスを受けることができます。
また、行政機関による調査や、警察・検察による捜査が開始された場合、それへの対応方法に関するアドバイス、不当な捜査活動からの保護など、依頼者の権利を守るための弁護活動を行えます。
加えて、再発防止策についても、どのような体制を整備すればよいのかアドバイスをもらえるでしょう。
さらに、上記のような法律的なサポートだけでなく、逮捕の不安などを抱える中で、専門家であり味方である弁護士として精神的な支えにもなれます。
助成金・補助金の不正受給に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ

助成金・補助金を不正受給してしまったりそれに関与してしまったりした場合は、早めに弁護士に相談することを推奨します。
早めに相談し適切に対応することで、ペナルティを回避できる可能性が高まります。
仮に捜査の対象になってしまった場合でも、予め相談していれば迅速かつ適切に初動対応から弁護士のサポートを受けられます。
当事務所ではこれまで数多くの助成金の不正受給に関するご相談を受け、依頼者の権利を守るため弁護活動を行ってきました。
また、法律的なサポートだけでなく、依頼者の立場に立った親身なサポートを行っております。
当事務所のたしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けしますので、まずはお気軽にお問合せください。